連載 重箱のスミ 54 ~端午の節句~

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端午の節句

もうすぐひな祭り。これまで、お雛さまのお話で重箱のスミっこをほじくりまわしてきましたが、そろそろ端午の節句の重箱に移ろうかと思います。

端午の節句は、そもそも「端午」の意味からしてよくわかりません。飾るしつらえにしても、鎧兜や武者人形、鯉のぼりなどなにをどう飾って、なにをしたらいいのかよくわからない、という方が多いのが実情です。そんな方々に参考になるのかどうかわかりませんが、とりとめのないお話をほじくります。「端午の節句」という世界は、足を踏み入れたら抜け出せないような面白いアイテムがたくさん出てきます。どうぞお付き合いください。

 

 今では、端午の節句の飾りと言えば兜や鎧、あるいは鎧を着た子供の姿のお人形が一般的です。しかし、戦後まもなくまで、この子供の顔の大将人形というのはほとんどありませんでした。わずかに、京都で若殿姿の人形があるくらいでした。

 では、端午の節句に昔は何を飾っていたかというと、鎧兜は昔からありましたがその他には神功皇后や神武天皇、鍾馗(しょうき)、ヒゲをはやした大人の姿の大将人形、それに桃太郎や金太郎、一寸法師、浦島太郎などの人形でした。

 落語の「人形買い」では、八つぁん熊さんが仲間の端午の節句のお祝いに人形を買いに行き、神功皇后と太閤の人形で迷うシーンあります。朝鮮征伐や、八幡(はちまん)様と崇められる応神天皇の母親「神功皇后(じんぐうこうごう)」と、出世物語の最高峰の人物「太閤秀吉」とで迷うのですが、神功皇后の方が代々続いていることからいいのではないかと神功皇后になります。そのあとのどたばたは庶民的でとても楽しいお話です。

 鎧兜のことを甲冑(かっちゅう)ともいいますが、甲が鎧の意味で、冑は兜です。「甲」を「かぶと」と読むこともあって間違いやすい言葉です。亀の甲羅を思えば甲が鎧であることはわかりやすいと思います。昔、マジンガーZというアニメの主人公は「兜甲児」という名前で、まさに端午の節句にふさわしいような名前でした。

 

節句文化研究会では、こうした 面倒臭いけどなんだか楽しい節句のお話を出前しています。カルチャースクール、各種団体、学校などお気軽にお問合せください。→HP最後のお問い合わせメールからどうぞ

これまで、いくつかの和文化カルチャースクール様、ロータリークラブ様、徳川美術館様、業界団体様、中学の授業などでお話させていただいています。

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