連載 五月人形の 重箱のスミ 60

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端午の節句の三太郎

  すなわち、金太郎、桃太郎、浦島太郎 ~その四~

  浦島太郎

すみません、浦島太郎の人形がなくて・・

 三人目の浦島太郎。この話はわが国でもっとも古いお伽話とされています。元のお話では亀が異界のお姫さま本人だったりと、今知られている内容とはやや違う部分もありますが、概ね同じような筋書きです。昔からお節句に飾られるお人形ですが、金太郎や桃太郎は強い、優しい、出世、などで飾られる理由がわかりますけれども、この浦島太郎にはそれがありません。動物を大切にしようとか、今風ならば環境を守ろうということなのでしょうか。

 源氏物語に「 物語の出で来はじめの祖なる竹取の翁 」とあるように、「物語」として一番古いのは「竹取物語」といわれていますが、実は浦島太郎の話はそれより古く日本書紀にも「浦島子」の話として出てきます。

 浦島太郎の神社として有名なのは、京都・丹後半島にある宇良神社(浦嶋神社)です。御祭神が浦島太郎です。

 余談です。竜宮城のように昔話にはたびたび龍が出てきますが、この龍はすべて同じ一頭の龍だという説があります。それは、龍には子供がいないということになっているからです。龍生九子といって、龍には九匹の子がいたのですが、全員龍になれませんでした。その九匹の子の中に「贔屓(ひき)」という子がいます。めっぽう力が強い子で亀のかたちをしています。太郎の乗った亀がこの贔屓かどうかは知りませんが、関わりがあるのかもしれません。贔屓は力が強いので、よく神社などの柱の下で建物を支えているのを見かけます。この贔屓をひっぱると柱が倒れてしまうことから「贔屓の引き倒し」という言葉が生まれました。お店で「どうぞごひいきに~」と言うのは、「うちの屋台柱(屋台骨)を支えてください」という意味になります。また、ヒキガエルはなんとなく力が強そうで、贔屓を想起させるとことから名付けられました。

 面白いのは、浦島太郎の竜宮は海の中ですが、日本の昔話に出てくる龍はたいがい山の中の滝つぼに住んでいる点です。

 龍については、後ほど兜のお話の中で改めて触れるので、ここらでお預けです。

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これまで、いくつかの和文化カルチャースクール様、ロータリークラブ様、徳川美術館様、業界団体様、中学の授業などでお話させていただいています。

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