連載 五月人形の重箱のスミ 72

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

甲冑 兜 ~その九~

 龍って?

西洋の龍

 ここまで何気なく龍という語を使ってきましたが、龍とはいったいどのように生み出された生物なのでしょう。

 西洋にも龍=ドラゴンがいます。ほとんど同じような姿ですが、あちらの龍には翼が付いています。東洋の龍には翼がありませんが、空は飛べます。

 民俗学の吉野裕子は、龍の元は蛇ではないかと解いています。蛇は脱皮して成長するところから、そのたびに新たに生まれ変わる神聖な生物であり、そこからさまざまな信仰が生まれたというのです。赤い舌をちろちろ出すところからは炎を吐くことを連想させます。また、多くのヘビのオスには生殖器が二本あり、それを見た人が足と誤解し足があるなら手もあってしかるべしということで、手足があり口から炎を吐く生物が創造されたということです。神話などに出てくる大蛇(オロチ)は、多くの場合龍との境目がはっきりしていません。先の俵藤太の踏んづけた大蛇も龍王の化身ということです。

 ヨーロッパ、中東、インド中国のいずれが発祥の源か知りませんが、どの地域にも同じような姿の空飛ぶ龍がいるのは不思議です。

 龍についてはまだまだほじくり足りませんが、どんどん兜の龍頭から離れていくのでここら辺で打ち止めにしたいと思います。次回からは唐獅子について。これも面白いです。

 

節句文化研究会では、こうした 面倒臭いけどなんだか楽しい節句のお話を出前しています。カルチャースクール、各種団体、学校などお気軽にお問合せください。→HP最後のお問い合わせメールからどうぞ

これまで、いくつかの和文化カルチャースクール様、ロータリークラブ様、徳川美術館様、業界団体様、中学の授業などでお話させていただいています。

※この記事の無断引用は固くお断りします。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。