「兜のてっぺんの穴」
ときおり、お客様から「兜のてっぺんの穴にはめるものがない」と、
クレームをいただくことがあります。この穴にはめるものはないのです。
名前は「天辺孔」といい、穴を構成している金具を「八幡座」といいます。
この穴は何のためにあいている?
いくさは涼しい時ばかりではありません。真夏のときには陽にやかれて、
目玉焼きができるくらいに熱くなります。その熱気を逃すためにあいて
います。烏帽子をかぶった人形がありますが、平安時代から鎌倉初期には
兜はこの烏帽子をかぶったまま兜をかぶり、烏帽子の先端をこの穴から外に
出します。3番目の絵のように、兜の上から出ている黒いものです。
暑い時には当然、頭がかゆくなります。そのときはこの穴から棒を突っ込んで
掻きます。鎌倉時代後期には、兜の内側に布や革で「うけばり」というクッ
ションを貼るようになったので、兜の先から烏帽子を出すことはなくなり
ましたが、代わりに最後の絵のようにこの穴に飾り物をくっつける変な人
(””(-“”-)”)も現れました。江戸時代の節句飾りの兜にも、この穴に造花や
作り物を立てたものが見られます。