今日は端午の節句、人形屋にとっては年度末とも言える日です。
最近、LGBTQの高まりもあって、なぜ男の子の節句だけ休日なのか?という疑問をお持ちの方も多いようです。
日めくりをご覧ください。「今日は何の日?」のところに「薬の日」とあります。これ、大事な日です。
まず、「端午」というと「はじめての午の日」と説明される方もいらっしゃいますが、初めての午の日は「初午」です。では、5月の初めての午の日は?といえば、それは「上午」といいます。同じ言い方で、ひな祭りは3月の初めての巳の日「上巳」にず~っと行われてきました。3月3日になったのは、平安時代の中頃のことです。一方、端午の節句は紀元前から、午の日ではなく5月5日に行われてきました。この理由は長くなるので省きます。
奈良時代から、端午の節句は薬の日でした。この日にきれいな造花で飾った「薬玉」を古い薬玉と掛け替えます。古い薬玉とは、前年の重陽の日に飾った薬玉です。古い薬玉からきれいな造花や糸を、わいわい言いながら取り外す女性たちの様子も枕草子などに描かれています。
また、この日は「名前も知らない人々の家にも隙間なく菖蒲を屋根に敷き詰めた」とあるので、貴族以外でも菖蒲を飾ったようです。そして、この日は女性の天下となる日でもあったようです。農家の女性は菖蒲で飾った家に集まって厄落としに大騒ぎをしました。
端「午」の節句だからってことで(?)馬を競争させたりしたところからなんとなく男子の節句的な感じが増し、江戸時代には武家では男児の誕生がお家存続のカギとなって、端午の節句が男児の節句のようになっていったようです。
新聞記事にあるように、ほんとは端午(5/5)とお雛さま(3/3)の意味を持たせて5月3日になるところが、憲法がその日に発布されてしまって2日ずらしたというのが理由らしい。そもそも端午の節句の日を「こどもの日」にしたんじゃなくて、たまたまその日が端午の節句だったっていうのが当たっているかも。
男の子も女の子も、今日はチマキや柏餅を食べ、菖蒲湯につかって楽しく、そしてお母さんに感謝して、薬の世話にならないようにしてください。なんといっても、五月五日は陽の5と5が重なって陰となる悪日なのです。(今年は令和5年なので5が3つ重なる良い日かも)