連載 重箱のスミ ㉔

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女雛 その九

 裳(も) ~七~

 お雛様の場合、八枚の裂地を縫い合わせて裳を作るのはたいそう面倒なので、一枚の裂地で済ませるのは仕方がないのですが、この裂地の左右の端っこを大腰に折りたたんでまとめないで、ぴらぴらと出しているものがよくあります(写真)。なぜ、大腰にまとめておかないのか不思議です。後ろから見た時に未完成品なのか?と思ってしまいます。これを大腰に折りたたんで、きゅっと結んであると、後ろ姿がとてもキュートになります。

 令和天皇の即位式などで見られたように、女性皇族の十二単や男性の束帯姿はわたしたち日本人にはとても格調高く、美しく見えます。しかし、即位式や新嘗祭など宮中三殿に参るときには、この十二単や束帯を着装するのはかなり大変なことなのです。

 男雛の章で述べたのと同じように、女性も「次(つぎ)」「清(きよ)」のしきたりは厳格に守られ、ご自分で着ることはできません。女官たちに着せてもらった後、檜扇(ひおうぎ)をたたんだ状態で両手に持ちます。このとき、袖から手首が出ることはありません。   ~つづく~

裳の端のぴらぴら

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これまでいくつかの和文化カルチャースクール様、ロータリークラブ様、徳川美術館様、業界団体様、中学の授業などでお話させていただいています。

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