連載 重箱のスミ ㉗

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女雛 その十二

 唐衣  ~一~

  フォーマルなショートジャケット

 「からころも」または「からぎぬ」と読みます。十二単装束の一番上にくる、丈の短いコートまたはジャケットのようなもので、ほぼ必ず裳と一緒に着られます。裳(も)のところで述べたように、この唐衣には帯や紐はついておらず、裳の帯で締められます。

 令和天皇の即位礼でも見られたように、装束の一番最後に唐衣の上から裳でまとめられますが、古い絵巻などでは裳を付けた後、その上から唐衣を着たようなものもあり、時代によって着方もいろいろあるのかもしれません。

 雛人形では、この唐衣とその下の表着(うわぎ)、さらに袖・襟口に出る五つ衣の色・柄の組み合わせが作者のセンスが問われるところです。さらには、男雛の装束とのバランスも重要となってきます。有職系の雛人形の場合、男雛の束帯に表される位などに女雛も強く影響されます。この辺りの「格」を理解していないと妙なバランスの内裏雛(男雛女雛一対)になってしまいます。

めずらしく、このお雛さまは裳の上に唐衣を着ています。オレンジ色の部分。

 

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