連載 重箱のスミ ㉙

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女雛 その十四

 唐衣 ~三~

 日本人ではじめてパリのオートクチュール協会のメンバーになった森英恵が、この平安時代の装束抄をヨーロッパに紹介し、欧米のファッション界を驚かせたことはよく知られています。また、「マダムバタフライ」と呼ばれた彼女のトレードマークの蝶のデザインは、正倉院にも収蔵される装束の有職文様からとられていて、唐衣にもしばしば用いられています。平安時代に研ぎ澄まされた造形と色彩感覚は、現代のファッション界にも大きな影響を与えていると言ってもいいのかもしれません。と言いながら、私はファッションに関してはまったくの素人なので、ちょっと大げさな表現かもしれないことを付け加えます。

 西暦1000年頃、ヨーロッパでは大きな侵略戦争が続いていて、文化的には「暗黒時代」と呼ばれています。日本では1000年を中心に数百年にわたり大きな戦乱のない時代を享受していました。こと、「文化」については平和は絶対的な条件と言っても過言ではありません。世界最初の小説、しかも長編、女性作家による「源氏物語」が生まれたのもまさにこの時代です。

古典的なチョウチョの文様(写)

 

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これまで、いくつかの和文化カルチャースクール様、ロータリークラブ様、徳川美術館様、業界団体様、中学の授業などでお話させていただいています。

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