連載 重箱のスミ ㊴

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屏風をほじくる その三

屏風の上下

 

ちゃんと表具された屏風には上下があります。

金屏風など、絵柄のない屏風ですと上下がないように見えます。

そんなとき、屏風の角を見て下さい。写真のようにたての棒と横の棒が45度で突合せになっている方が上です。下は90度に切られた棒が組まれています。棒と言いましたが、正しくは縁(ふち)といって、このように塗られているものを塗縁(ぬりぶち)とよんでいます。角は傷つきやすいのでこのように金具がつけられていることが多いです。

金具がつけられているということは、こうした屏風は塗装されている台などに載せることは想定されていないことを表しています。金具があると、台に傷がつきます。つまり、お雛さまの屏風は「もうせん」の上に飾ることを最初から想定して作られているのです。

もうせん(フェルト)は北アジアでは紀元前から作られており、正倉院にも収納されています。羊毛などで作られており、不織布の代表的なものです。

中でも赤い緋毛氈(ひもうせん)は清浄な区域を表すとされ、西欧で用いられるレッドカーペットにもその意識を見ることができます。

屏風の上下を知っていても普段の生活に役に立つことはありませんが、ちょっとだけ豊かな気持ちになることはあります。

 

屏風の上:45°  屏風の下:90°

 

 

 

節句文化研究会では、こうした 面倒臭いけどなんだか楽しい節句のお話を出前しています。カルチャースクール、各種団体、学校などお気軽にお問合せください。→HP最後のお問い合わせメールからどうぞ

これまで、いくつかの和文化カルチャースクール様、ロータリークラブ様、徳川美術館様、業界団体様、中学の授業などでお話させていただいています。

※この記事の無断引用は固くお断りします。

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