連載 重箱のスミ ㊵

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三方と菱餅  ~その一~

 三方(さんぽう)

 三方や菱餅も同様で、本来、それはお子様のお守りであるお雛さまへの感謝や祈りのお供えを載せるための道具です。

 お正月にお寿司屋さんに行ったところ、お鏡餅を飾ってある三方の台の部分が上下さかさま、折敷(おしき=上部の皿部分)が前後逆に飾ってありました。お断りして直させていただきましたが、お雛さまの三方を見慣れていれば、こうしたこともなかったかもしれません。

 屏風は紙の部分を持てば破れることや、三方の上下前後など、大人になって知らないと恥ずかしい知識がお節句の飾りにはたくさんあります。特に、畳のお部屋のないマンション等にお住まいの方こそ、伝統的な様式を備えたお雛さまを飾ってほしいと思います。

 三方は下の台の部分と上の折敷というお盆のような部分でできています。大抵、この二つはくっついていますが、別々になっているものもあります。台の部分には三方向に宝珠型に穴がくり抜いてあります。これが三か所なので三方(三宝)と呼ばれます。四方にあいたものもかつてはあったようで、四方と呼ばれていました。三方の台は穴のあいていない面に繋ぎ目があり、つなぎ目が向こう側で、穴の開いた面を手前に飾ります。逆に折敷はつなぎ目がある方が手前になります。神社などでも神様がおられる側が正面ですので、こちらに向いている方が裏面ということになります。

三方の手前側          三方の向こう側

折敷のつなぎ目は桜の樹皮でつないであります

 

 

節句文化研究会では、こうした 面倒臭いけどなんだか楽しい節句のお話を出前しています。カルチャースクール、各種団体、学校などお気軽にお問合せください。→HP最後のお問い合わせメールからどうぞ

これまで、いくつかの和文化カルチャースクール様、ロータリークラブ様、徳川美術館様、業界団体様、中学の授業などでお話させていただいています。

※この記事の無断引用は固くお断りします。

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