連載 重箱のスミ ㊸

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ただ今、お雛さま・羽子板 破魔弓飾り 売り出し中です。

◇可愛いだけではもったいない

◇次の世代に文化としてのお雛さまを伝えられないと申し訳ない

◇伝統を謳いながら伝統様式を守っていないとなさけない

そんな気持ちでお雛さまをおあつらえしています。

ちょっと他のお店様とは品ぞろえが違います。

ちゃんとしたお雛さま、生涯お飾りいただけるお雛さま、

どなたに見ていただいても恥ずかしくないお雛さま、

たくさんお揃えしました。どうぞご覧ください。

 

※この連載は、5月3日から始まっています。一般にネットなどで解説されているようなことにはあまり触れていません。まさに重箱のスミ的な、知っていてもあまり役に立ちませんが、お子様に折に触れお話しいただくとおめめがきらりと光るようなちょっと楽しい(かもしれない)事柄です。

三方と菱餅 ~その四~

菱餅

 

お雛様以外では見かけることのない菱餅。なぜ、菱型で三色?、そしてそれがのせられている菱餅専用としか思えない台。

菱とは植物のヒシから来ているデザインです。ヒシは池や沼によく生えていて、実は古来、食用とされています。忍者の使うマキビシのような形をしていて、トゲがあり、中の実は茹でると栗のような味がします。子供のころ名古屋城のお堀に生えているのを採って食べたことがあります。葉っぱはヒシというより四角い感じで、その茎の元の方がふくらんでいてこの部分も菱形に近いかたちです。

菱型は、この実から来ているのか、葉っぱ、または茎なのかよくわかりません。忍者は実際にヒシの実を乾燥させてマキビシにしていたともいわれています。このトゲトゲに厄除けの意味があります。節分にイワシの頭とともに飾られるヒイラギにもトゲトゲがありますね。

菱餅の三色はクチナシ(紅)とヨモギ(緑)で色付けられます。中には五色や七色もあります。この菱餅が菱形なのは厄除けという意味があるのでしょうが、宮中ではお餅が菱形だからそれが広まったと何かの本で読んだことがあります。ずいぶん前のことで、どんな本だったのか思い出せません。宮内庁におたずねしてみたのですが、ご返答がいただけていません。そもそも、宮中で雛人形を飾るのかどうかさえわかりません。戦後の話ですが、ある女王様(女性皇族)から小さなお雛さまが女官におさげ渡しされたという話がありますので、まったく飾られないというわけではないでしょうが、「上巳の祓え」は行われても「ひな祭り」はなさらないのかもしれません。

この菱餅を載せる台は菱餅専用です。菱形の折敷には中に中板(ゲタ)がはめられ、裾広がりの台とセットになっています。前項の三方の菱形バージョンです。この菱餅台はお雛様以外に実用品としては見たことがありません。宮中では普通に菱形のお餅を召し上がられているとすれば、このような菱台に載せられているのでしょうか。

お雛様専用とすれば、考え出した人はなかなかたいしたもんだなと思います。他の丸いお餅の「高杯(たかつき)」や「お膳」類は実際に食器として存在するものをお雛様用に小さくしたものです。

こう考えると、菱餅はお雛様には欠かせないお道具だと言えます。

これはお餅が五色です。   台は三つの部品で構成されます。

 

 

節句文化研究会では、こうした 面倒臭いけどなんだか楽しい節句のお話を出前しています。カルチャースクール、各種団体、学校などお気軽にお問合せください。→HP最後のお問い合わせメールからどうぞ

これまで、いくつかの和文化カルチャースクール様、ロータリークラブ様、徳川美術館様、業界団体様、中学の授業などでお話させていただいています。

※この記事の無断引用は固くお断りします。

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