謹賀新年
お正月なので縁起よく、末広がりの話題です。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
お雛さまは縁起のかたまりといっても良いくらい、すみからすみまで気配りがされています。ですから、生半可な思い付きで様式を変えたりすると、見る人が見たときとても妙なことになる場合があります。さらに、不思議と「様式」に則(のっと)ったお雛さまというのは流行(はやりすたり)に左右されず、とても美しいものです。
そんなお雛さまの世界にいざなうのは、重箱のスミをほじくるような楽しいお話の数々です。どうぞお楽しみください。
雛人形の檜扇
実際の檜扇の飾り花
女雛が持っているきれいな扇を檜扇(ひおうぎ)といいます。名前の通りヒノキでできています。
まだ紙のない時代、長い祝詞(のりと)などを書き記すのに一枚の木簡(笏)では足りず、何枚かに書いてその一端を糸や金具で留めたのが始まりとされています。板の数は八の倍数とされ、女性の場合は八×五の四十枚、ここから偶数を嫌って一枚減らし三十九枚とされています。この板のことを橋と呼びます(お菓子の八つ橋と関係があるんだかないんだか・・)。雛人形の持ち物としての檜扇は、そんなにたくさんの枚数では作れないので十数橋になっていて、松竹梅、鶴亀などの縁起の良い絵柄が描かれています。
この両端に造花がつけられ、そこから長い色糸が垂らされています。この糸は緑、紅、白、黄、紫、淡紅の六色で、実際にはこの糸で閉じた檜扇をくるくる巻いて手に持ちます。で、そこについている造花ですが、雛人形には松、梅、橘がつけられます。良い雛人形には扇そのものも手の込んだ絵が描かれ、造花、糸も美しい絹糸で作られます。松、梅、橘は高倉流、山科流では松と梅だけといわれますが、いずれにしても松、梅、橘以外の造花は付けられないようです。
松、梅ときたら竹と行きたいところです。ここに橘がつけられるようになったのは、橘家と関係のある九条家が有職故実の流派であることが関係しているのかもしれません。
小さな雛人形の道具ですが、緑の松などが描かれていることが多く、これを持たせることによって紅や朱色系の多い女雛の装束にワンポイント補色が入り、全体を引き締める効果もある重要なパーツのひとつです。
節句文化研究会では、こうした 面倒臭いけどなんだか楽しい節句のお話を出前しています。カルチャースクール、各種団体、学校などお気軽にお問合せください。→HP最後のお問い合わせメールからどうぞ
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