お雛さまでお人形の次(?)に大きな要素となるのは「屏風」です。お人形の背景となり、面積も大きいので飾ったときお部屋の壁面などとの映りにも影響があります。
色や柄だけでなく、その「作り」にも多くの種類があります。
「作り」には大きく分けて2種類あります。簡単に言えば、金属の「チョウツガイ」を使ってあるかどうかです。
本来、屏風というのは紙や布を木枠に「表具」してこしらえられ、一面ごとのつなぎ目は「紙蝶番(かみちょうばん)」という特殊なつなぎ方がされています。本式の紙蝶番は反対側にも曲げることができます。そして、こうした屏風は表具師によってこしらえられます。周りの黒枠は、上端の角は縦棒と横棒が斜め45度に切られて組まれ、下端は切り口直角のままドン付けされます。内部は障子のような枠に下貼りをした上に表紙が貼られ、中は空洞になっています。
一方のチョウツガイ屏風は、主にベニヤ板やボードに色柄を塗装したり紙などを貼り付けたものをチョウツガイでつないだもので、「表具」の技術が要りません。主に木工屋さんでこしらえられます。
どちらが良いかはお客様と販売店の判断に委ねられるもので、好みや飾る場所、価格にもよりますので一概に申し上げることはできません。
当店ではあまり用いませんが、現状では大半がこの金属チョウツガイの屏風になっています。
ふすまや障子、掛軸など表具師の活躍する場面がどんどん少なくなっているのが現状です。文化を支える技術、技術を支える文化、技術と文化は表裏一体のものです。節句行事が伝統文化であるなら、その文化を伝えるためにも節句飾りにはこうした技術を少しでも採り入れ続けたいと思っています。